7月の聖句
7月の聖句
使徒言行録 18章10節
人は独りで生きて行かなければならない。こどもたちは、成長するに連れて、親から離れて行く。親から離れ、自分の人生を歩んで行く。生まれるときも死ぬときも人は独り。独りである生と死の間は、誰かと一緒に生活するのも人間。
「独りでいることができない人は、集団に入ってはならない。集団に入ることができない人は、独りになってはならない」。ボンヘッファーというドイツ人の牧師の言葉である。独りでいることができ、集団でいることもできる。どちらであろうとも、自分を失わないで生きること。そのための力が、使徒パウロが聞いた「わたしがあなたと共にいる」という言葉である。
パウロという人は、キリストを宣べ伝えるためにとても苦労した人である。迫害にも遭い、多くの苦難を経験した。その苦難の中で聞いた神の言葉が「わたしがあなたと共にいる」という言葉だった。迫害や苦難の中で、たった独りになったパウロは、不安の中にいた。しかし、思いもかけず、自分の言葉を信じてくれる人に出会う。その後、多くの人が彼の言葉を聞いて、洗礼を受けた。パウロは、逃げ出したけれど、神さまが一緒にいてくださって励ましてくれたのだと信じた。必ず聞いてくれる人がいると神はパウロに言ったのだ。その人たちは、神がパウロに出会わせた人たちだった。パウロは神の言葉を聞いて、逃げ出さず、そこに留まる決意をした。「わたしがあなたと共にいる」という神の言葉を信じて。
こどもたちが親許を離れていくときに必要なもの。独りでも集団でも自分自身であることができる力。この力は神から与えられる。こどもたちが自分を失わず生きて行くために、親にできることは安心の場所となること。親としてくださった神に感謝している親の懐で、こどもたちは安心して自分を生きて行くであろう。
チャプレン 末竹十大